梅雨前に本格的な暑さ迎えたり、様々な虫が活性化する5月はブルーベリーの状況に合わせた対応が大事です。
摘果
軽く摘果(てきか)するだけでも実は甘く大きく
水やり
夏のようにすごく暑い年と梅雨のように低温で雨が降る年では水の上げ方を変える
害虫対策
葉芽や新梢の状態で明らかにダメになった木が出始める
5月のブルーベリーの状態
ブルーベリーの開花期は4~5月ですが、多くは4月に開花盛期を迎えて受粉します。5月は受粉して得られた果実を大きく育てるために大事な時期であり、葉芽が成長する時期でもあります。
また、新梢が良く伸び、光合成が活発になることで、樹と実の成長が促されます。
こんな症状には注意
葉が黄緑になるのは窒素が、葉脈がくっきり見えるのは鉄やマグネシウムが不足していることが原因です。土壌の養分自体が不足しているのではなく、土壌や葉内のpHが高すぎて養分の吸収が妨げられて起きることが多いため、即効性の酸性肥料である硫安肥料を施してpHを調整します。
全体的に元気がない場合、コガネムシの幼虫に根を食べられ、養分が吸収できなくなっている恐れがあります。放置すると最悪枯れてしまうこともあるので、早めに掘り起こしてコガネムシの幼虫駆除します。形はカブトムシの幼虫に似ていて、大きくても3㎝程度です。
5月の摘果で大きく甘い果実を収穫
摘果(てきか)をするとより大きくて甘い実の収穫が期待できます。
ただし、摘果はブルーベリー栽培で必須作業ではないため、自然に任せて実をつけさせて、収穫を楽しむこともできます。
摘果すると何が変わるか
果実の数が多すぎると樹全体や果実への栄養や水分が十分に行き渡らなくなり、結果、以下のようになります。
- 実が小さくなったり酸っぱくなる
- 樹勢が弱くなる
- 果実の成長にともない、混み合い・ぶつかり合って自然落下
なお、品種によって花芽の数は異なり、ミスティやマグノリアなど非常に多いものもあります。こういった品種は花芽の段階で減らすか、摘果をすることで適正な成長を促します。
摘果のやりかた
成長が期待できる実に栄養がいきわたるように摘果をしていきます。
- 弱々しく細く短い枝を枝ごと落とす
弱々しい枝についた果実はイマイチで、枝も木の成長に悪影響なので落としておきます - 花房の先端の実を落とす
家房の最先端の実は成長しても小さい傾向にあるため、早い段階で落としてもOKです - 混みあった実を間引く
混みあった果実は成長とともにぶつかり合って自然落果するので、色付く前に摘み取って間引きます
5月の水やり
果実や樹の成長に水は欠かせないものです。他にも、光合成の効率を高める、根の成長と健全な機能を維持するなど多くの役割を担っています。しかし、ブルーベリーは根が髭のように細く、浅く広がっているため、土が乾燥するとすぐに水分不足に陥ります。
5月は晴天が続き気温も高いので、少なくとも地植えで週に2回、鉢植えで2日に1回は水やりをしましょう。鉢植えでは鉢の底からあふれ出るくらい、鉢容量の20%程度が水やりの目安です。
ただし、使用している土の種類、鉢や樹の大きさなどによって必要な頻度や水の量は変わります。他の植物も含め、初心者が一番よくやる失敗は水のあげすぎです。
5月に開花後のブルーベリー追肥
果実や新梢の成長に必要なエネルギーを補填するため、5月下旬くらいに追肥を施します。ブルーベリーは好酸性のため酸性の肥料が適しています。また、好アンモニア性でもあるため、窒素肥料はアンモニア系のものが最適で、ない場合は尿素系を使います。硝酸系を使用すると樹の成長が次第に悪くなり、長年の使用で枯死も起こり得るので注意が必要です。これらを踏まえ、アンモニア系窒素を含む窒素リン酸カリウム比が8・8・8の普通化成肥料や尿素入り緩効性肥料のIB化成などの利用がお勧めです。
害虫対策
- ハマキムシ
新芽を害するため、丸まった葉があったら潰す、葉から取り出して捕殺します。 - アブラムシ
小さい虫で花芽の先端などにびっしりつき、新梢や若葉の生育を妨げたり、果実をベタつかせたりします。少ない場合はセロハンテープ等ではがし取り、多い場合は水をかけて流したり薬剤を使用して駆除したりします。酢が原料の資材で予防するのもひとつです。 - カイガラムシ
樹の汁を吸って成長し、樹を衰弱させます。成虫になると貝殻のような硬い殻に覆われ駆除が難しいため、幼虫が孵化し始める5月は駆除に最適のタイミングです。ブラシ等でこすり取って駆除しましょう。 - コガネムシ
冒頭にも記載したように樹全体が元気がないときに可能性があります。幼虫は被害が大きいので見つけ次第捕殺します。
ミツバチは受粉を助け、カマキリ、てんとう虫、クモなどは害虫を食べてくれます。ブルーベリーの成長を阻害することもありませんので、益虫に分類できます。
雑草
木の根元に雑草が生えると、風通しが悪く病害虫が発生しやすくなります。また、ブルーベリーの根は細く土中に浅く広がるため、雑草の根と位置が近くなり、養分や水分の奪い合いになってしまいます。5月は気温が上がり雑草が増える時期なので、手で抜き取るなどしてしっかり除草しましょう。また、土の表面を有機物等で覆うマルチングという手法を用いると、雑草の発生を抑えられるほか、乾燥防止、地温の保持、コガネムシの侵入防止、有機物の補給なども期待できます。農園ではバークチップ等の有機物を10~15㎝程度の厚さで敷く有機物マルチ法が一般的ですが、家庭では防草シートで地面を覆いウッドチップ等を重ねると、簡単で見た目も良く、雑草や乾燥が防げます。
5月の開花と受粉
開花盛期は4月ですが、地域や品種によっては5月中も花が咲きます。「ツクベリーやさと」のある茨城では5月中旬まで咲いているラビットアイの品種もあります。
ブルーベリーの花はスズランに似た筒形で受粉しにくい形状なので、訪花昆虫や人の手を使って受粉させます。日光が好きで強風に弱いミツバチを呼ぶため、鉢植えであれば日当たりが良く強い風が当たらない場所に置きます。また、綿棒や絵筆を使って人工授粉すると確実です。
5月のブルーベリー剪定
ブルーベリーは樹形を整えたり、収量を増やしたり、病害虫を予防したりするために、夏と冬に剪定をします。夏の剪定は収穫後の8~9月に行いますが、5月中旬頃から6月にかけて剪定してもOKです。
花芽のできる7月前に剪定することで花芽を無駄にしないで済み、成長が盛んな夏より前に剪定することで枝分かれが良く花芽がつきやすくなります。
当園の5-6月選定の目的は、果実の収穫をしやすくするためです。
風通しが悪くなるとブルーベリーにイラガが住み着いて、収穫するときにうっかり触れてしまうことがあります。虫が住み着きにくく発見しやすいように剪定します。
剪定のしかたは、枝数を増やすために長い枝の先端から1/3ほどを切ったり、風通しを良くするために弱っている枝や混みあっている枝を切ったりします。
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