ブルーベリー栽培には、自分にあった特徴のブルーベリーの選ぶことが大事です。選び方は「果実の甘さや香り・育てやすさ・栽培場所」で紹介しましたが、では、どのブルーベリーが該当するか迷うと思います。
今回は各ブルーベリー系統の特徴を紹介してきます。
ノーザンハイブッシュの特徴
寒冷地から交配されたノーザンハイブッシュの歴史
アメリカのニューハンプシャー州などの寒い地域に生息するブルーベリーを交配させた系統です。最も古く1908年頃から品種改良が行われており、長く愛されている品種も多くあります。
バランスが取れているノーザンハイブッシュの果実
果実は大きめのものが多く、500円玉大になるものもあります。酸味と甘さのバランスがとれた味ですが、どちらかというと酸味が強めです。熟して甘みが増したタイミングが最も美味しくなります。皮が薄いためジューシーでなめらかな食感です。
寒冷地向きなノーザンハイブッシュの栽培
高温多湿に弱い反面、耐寒性はあるので-20度の寒さにも耐えられます。そのため、北海道や東北など寒冷地での栽培に適しています。その一方、九州などでは栽培が難しく、中部より北の地域で育てた方がよいです。土壌の酸性度の適正値はPh4.3~4.8です。木の大きさは1.5~2mほどで成木での収量は4kg程度になります。
おすすめ品種と品種の組み合わせ
- 優良品種の「ブルーレイ」
大粒で味も香りが良いだけでなく、さらに育てやすいと欠点のない品種です。長く優良品種として評価されてきたブルーレイは確実に育てたい方におすすめです。 - 大粒品種の「チャンドラー」
国内でホームセンターなどでもよく売られている品種。500円玉サイズの極大粒の果実をつけ、味も美味しく人気があります。 - 育てやすい「レカ」
育てやすさを優先する方におすすめな品種。ただし、酸味が強めなので、しっかりと熟すまで実の成長を待つ必要があります。
優良品種の「ブルーレイ」と組み合わせるなら「ダロウ」や「チャンドラー」がおすすめです。収穫時期が重なり他家受粉しやすいです。ダロウはチャンドラーの親戚品種で実が大きいのが特徴です。
サザンハイブッシュの特徴
暖地栽培を目指したサザンハイブッシュの歴史
温暖な地域でも栽培できるハイブッシュを目指して1948年ごろから開発された比較的新しい系統です。そのため現在でも開発は盛んで毎年多くの新品種が出ます。
歴史は浅くとも味の良いサザンハイブッシュの果実
ブルーベリーの中で最も美味しいと評されることが多く、甘みと酸味のバランスがとれながらも強い甘みを感じさせてくれます。実の大きさは小粒から大粒まで幅広く品種があり、新しく発表されるものほど大粒の傾向にあります。ただ、大粒は実の裂果など弱い部分もあります。
樹高を抑えることができるサザンハイブッシュの栽培
温暖な地域で栽培可能な半面、耐寒性が弱いため関東地方以南が栽培適地です。Ph4.3~4.8の弱酸性の土壌を好みます。樹高は1mほどで、成木での収量は4kg程度です。実をつけた後に弱ってそのまま枯れることもあるなど、デリケートな側面もあります。
おすすめ品種と組み合わせ
- 育てやすい「オニール」
皮が薄くジューシーで美味しいだけでなく、育てやすさを重視する方にもお勧めな品種です。 - お子様と一緒に育てたい「シャープブルー」
果実がとても甘く実が柔らかいのでお子様でも食べやすいだけでなく、成長も早く育てやすいので子供と一緒に育てたい品種です。 - 日持ちする果実「レガシー」
育てやすく、甘い大粒の果実が取れるだけなく、果実がしっかりしていて日持ちします。そのため、収穫した実を毎日少しずつ食べることができるのもこの品種の良いところです。
「シャープブルー」は開花時期が長いため受粉樹としても多くのサザンハイブッシュとの組み合わせに適しています。
その「シャープブルー」とは、今回紹介した「オニール」と組み合わせたり、若干育てにくいものの素晴らしい香りを味がする「ミスティ」が組み合わせに適しています。
ハーフハイブッシュの特徴
より寒い地域を目指したハーフハイブッシュの歴史
極寒地での栽培に耐えうる品種を目指し、ハイブッシュと野生種であるローブッシュの交配により1911年頃から開発されました。
程よいバランスのハーフハイブッシュの果実
同じハイブッシュなのでノーザンハイブッシュやサザンハイブッシュに近い味わいです。甘みと酸味のバランスが良く食味や風味も優れていますが、他のハイブッシュに比べると収量や甘みが少し劣ります。実の大きさは中粒程度のものが多いです。
北海道でも育つハーフハイブッシュ
耐寒性が高く北海道でも栽培できます。樹高が1m程度と低いため積雪があっても枝が折れにくく、雪の多い地域でも育てられます。しかし、暑さに弱く日本の気候に適していないため、あまり栽培されていません。他のハイブッシュより秀でた果実の特徴があるわけではないこと、栽培方法に関する情報が少ないことから、豪雪地帯や極寒地域にお住まいの方や鉢植えで栽培したい方以外には積極的におすすめはしません。なお、土壌の酸性度の適正値はPh4.3~4.8です。
おすすめ品種と組み合わせ
- 甘く濃厚な味わい「チッペワ」
非常に甘みが強く濃厚な味わいでハーフハイブッシュの中では大きめの果実がなります。 - 引き締まった果実「ポラリス」
甘さと酸味のバランスの良さに加えて、引き締まった果実で高い評価を得ている品種。 - 加工に最適な「ノースランド」
果実は小さいものの、たくさんの実が取れるので、ジャムなどの加工品にも向いています。
ハーフハイブッシュはノーザンハイブッシュに含められることもあり、ノーザンハイブッシュの組み合わせて育てることができます。例えば、ポラリスならブルーレイやチャンドラー、ノースランドならヌイやレガシーとの組み合わせが可能です。
ラビットアイの特徴
より暖かい地域を目指したラビットアイの歴史
アメリカ南部に自生していた野生種を選抜し栽培したことから始まり、温暖な地域でも育てやすいよう品種改良して生まれた系統です。そのため丈夫です。
たくさんの収量が得られるラビットアイの果実
実の大きさはハイブッシュよりひと回り小さいですが収量は2倍あります。糖度が非常に高く酸味の少ない甘めの味です。皮が厚く種が大きいものもありますが、新しい品種はハイブッシュに劣らぬ良質な食感になっています。
育てやすいが樹勢がつよすぎる面もあるラビットアイの栽培
栽培適地は関東地方以南です。土壌酸性度の適正値はph4.3~5.3でハイブッシュより適応範囲が広くなっています。樹高は2~3mと大きめです。病気や害虫に強く樹勢も強いため、非常に育てやすく安定した収量も見込めます。
おすすめ品種と組み合わせ
- ブルーベリーの標準品種「ブライトウェル」
育てやすさと甘みの強い極上の美味しさの特徴を持ちます。 - ラビットアイで一番巨大「タイタン」
ラビットアイ特有の樹の強さを持ちながら、巨大果実とフルーティーな味わいの特徴です。 - 手間いらずな「ラヒ」
新芽が少ないために剪定の手間なく育てられ、濃厚な甘さで美味しい品種です。
ブライトウェルと味も美味しく比較的裂果しづらいオースチンの組み合わせがおすすめです。ブライトウェルとオースチンは受粉樹としても重宝されています。
ローブッシュブルーベリーの特徴
ローブッシュブルーベリーの歴史
北米で自生している野生種から選抜し品種改良せず栽培している系統です。ハイブッシュやラビットアイが栽培種に分類されるのに対し、野生種に分類されます。
加工に適したローブッシュブルーベリーの果実
実は小さいですが、アントシアニンが果肉にも含まれるなど栄養価が高く、凝縮された味がします。野生種の風味を強く残している点も魅力です。実が柔らかく鮮度が落ちやすいため、ジャムやドライフルーツなど加工品の原料として利用されています。
最も樹高の低いローブッシュブルーベリーの栽培
暑さへの耐性が低く栽培適地は寒冷地です。日本の気候には合わずあまり栽培されていません。樹高は15~40cm程度で非常に小さく、成長もかなり遅いため、鉢植えにも適しています。適した土壌の酸性度はPh4.0~5.0程度でPh4.8が最適です。
おすすめ品種と組み合わせ
ローブッシュはあまり情報がなく、おすすめというか、品種の紹介です。
小粒ながら野性味あふれる濃厚な味がくせになるシグネクト。果実は極小ながらも、樹勢は比較的強く育てやすいマウンテンブルー。ブルーソレイユも実は小さいもののローブッシュ特有の野性味あふれる味わいがあります。
ブルーソレイユとマウンテンブルーはどちらも早生種なので組み合わせるのに適しています。ローブッシュはあまり市場に出回っていないため、別のローブッシュが見つからない場合はハイブッシュとの組み合わせでも代用できます。